・農場プロフィール
先祖代々、家族で農業を営んでいます。
当地域は典型的な河岸段丘に位置し、農地が中心とか、集落が中心とか、それぞれの段に特徴があります。
我が家の田んぼも、複数の段に分散しています。
冬期間は雪が積もり、田んぼはじっくりと力を蓄えることができます。
・農業歴
早いもので、農業に従事し、もう20年が経ちました。(2024年5月現在)
今もそうですが、試行錯誤の連続です。
・栽培品種と生産規模
作付け面積の多い順に
・コシヒカリ(BL)
・ゆうだい21
・こがねもち
を作付けしています。
全体で約3ヘクタールです。
栽培方法
有機栽培を中心に、減減栽培も行っています。
品種や栽培方法は、随時、見直しを行っています。
品種の選定基準は、地域に合っているか、かなりおいしいか、販売につなげられるかなどです。
・なぜ農家をやろうと思ったのか
家が稲作を中心に農業を営んでいたので、それを踏襲しました。
・なぜ有機栽培をやろうと思ったのか
就農した時点では有機栽培のみでしたが、10年位前から減減栽培も取り入れました。(※)
有機栽培で一定の品質・収量を実現するには、より健康な稲作りが求められることから、非常にやりがいがあると考えました。
実際には、雑草との生存競争、いもち病との戦いなど、なかなか厳しい条件がありますので、苦戦しています。
有機栽培では、想像以上に早く雑草が勢いを増すなど、「想定外」の事態が「普通」に生じます。
これらに対応できないと、品質・収量とも、大きな影響を受けてしまいます・
このため、より栽培管理に力を入れるために、一部の田んぼを有機栽培から減減栽培にきり変えました。
もちろん、有機栽培が確立し、もっと面積を増やしても対応できる状況になれば、減減栽培を有機栽培に復活させたいと思っています。
「特定の栽培方法でなければだめ」とか「○○という栽培方法が一番優れている」とは考えていません。
限られた条件(田んぼ、労力、自然環境など)のもとで、それぞれの農業者が精一杯考え、継続して農業を続けていくことも、大切なことだと考えています。
※新潟こだわり市場で販売している「乳酸菌田んぼ」シリーズは、「有機栽培」のお米です。
・お米づくりをしていて嬉しいこと
毎年のことですが、種籾が芽を出したり、苗が育ったり、穂が出て花が咲いたり、収穫を迎えることができたりすると、「嬉しさ」を感じます。
つまり、稲が順調に生長することが最大の「嬉しさ」です。
「豊作の嬉しさ」は、まだ経験していませんので、これからの楽しみにとってあります。
・お米づくりで苦労すること
育苗期の異常高温、田植え以降の水不足・猛暑・日照不足など、毎年毎年、順調でない気象に苦労しています。
・農業の楽しさはどんなところ?「乳酸菌田んぼ」とは?
農作業は根気のいる重労働で、安全に作業をすすめるためには、常に気が抜けません。
それだからこそ、工夫のしがいがあるともいえます。
ここ数年は、雑草や稲わらを含めた田んぼの有機物を稲の生長に活用することを工夫しています。
そのための工夫の1つが乳酸菌などの微生物なのです。
田んぼに「乳酸菌をはじめとした様々な微生物」を共生させ、積極的に有機物を分解してもらい、稲の生長に役立てるようにしています。
我が家では、どの品種も、どの田んぼも、乳酸菌などを活用しています。
乳酸菌だけではないのですが、代表してもらい「乳酸菌田んぼ」と名付けています。
田んぼでの作業では、田んぼ(自然)との一体感を感じることができます。
生き物たちに見守られながら作業をしているような感じです。
・有機栽培はどんなところが大変か
稲の生長も、お米の品質・収量も、栄養条件によって大きく左右されます。
稲が利用する栄養分(肥料分)は、肥料から供給されるものと同程度が、土から供給されると言われています。
有機肥料も土に含まれている有機物も、分解されてから吸収されます。
水条件や温度条件によって、分解されるスピードは大きく左右されます。
化学肥料と有機肥料の違いの1つは、狙った時期に確実に稲に吸収させやすいかどうかにあります。
稲は十分な養分を吸収できなければ生育が遅れますし、逆に、必要量以上に吸収してしまうと病虫害を受けやすくなったりします。
この肥培管理の難しさが、有機栽培の特徴だと思います。
もう1つ、有機稲作では、雑草との競争が挙げられます。
土の中には、雑草の種が埋まっており、その種類も数も膨大です。
田んぼでは、そのときの状態が適している雑草が発芽し、伸びてきます。
酸素が多い状態が好きな雑草もあれば、酸欠状態が好きな雑草もあります。
雑草は土の養分を吸い、大きくなると稲が日陰になってしまいます。
稲にとっては厳しい条件になります。
除草剤を用いれば雑草の発芽や生長を阻害することができますが、有機稲作では雑草との競争を強いられることになります。
稲が十分に養分を吸えず、光も十分に当たらなければ、十分に育つことができず、収量も低下してしまいます。
・米づくりへかける想い
稲作は日本の気候風土に合い、縄文からの長い歴史があります。
米作りに取り組むことで、食料を供給するだけではなく、肥料などの生産資材を購入したり、農業機械などを購入・メンテナンスしたりすることで、地域経済にも貢献してきました。
要因は様々あると思いますが、大半の稲作経営は厳しい現状であり、後継者を確保しづらく、農業従事者の高齢化がすすんでいます。
国としては国内生産量とは無関係に、米の輸入を増やす方向ですので、全体としては稲作経営にとって好転する見込みは薄いと思います。
豚肉や鶏肉のように、米も、輸入と国産の両方がスーパー等で品揃えされるのも時間の問題だと思われます。
稲作農家としては厳しい限りですが、1年でも長く、「環境に優しい農業」に取り組み、「健康な稲」を育て、「安全でおいしいお米」を消費者の方に提供できるよう、がんばりたいと思います。
・取り組み
可能な範囲で、有機稲作を中心に、県内外への視察、各種の勉強会への参加を心がけています。
・趣味・特技
農作業中に「いいな」と思った瞬間を写真に残しています。
・最後に
有機稲作(有機JAS認証を取得)を中心に、取り組んでいます。
種まきから刈り取り、乾燥・調製まで、一貫して行っています。作業集中を避けるために、品種の組み合わせを工夫しています。
健康な稲を、田んぼの生き物たちと一緒に育て、おいしいお米が実るよう、取り組みを行っています。
安心して食べていただける、いろんなおかずに合う味のお米を目指し、皆様の楽しい食卓に貢献できることを願っています。
近年、田んぼが地球温暖化を促進している「メタンガスの発生源」であるとの指摘がなされています。
これに対して、「中干しの延長」での対応が進められていますが、こういうときこそ理科的な発想が必要と考えています。雨不足の時に中干しを延長すれば、稲にも田んぼの生き物も大きなダメージを与えます。メタンガスを分解する微生物の活用など、色々な方法について、先入観などにとらわれずに、多角的に検討すべきです。世の中は、そんなに分かりやすくはありません。
きめ細かく、丁寧なお米づくりをする根津さん
一つ一つをきめ細かく丁寧に考えながらお米を育てている根津さん。
「乳酸菌田んぼ」シリーズは、根津さんの稲作人生の総決算ともいえる農法です。「まだまだこれからですよ」とのことですが、根津さんの深い思考の元、大切に育てられているものだということがプロフィールからもよく伝わると思います。
川西地域での「ゆうだい21」の導入も先進的です。
「乳酸菌田んぼ」シリーズはおすすめです。
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魚沼豊穣は定期的にご購入くださるお客様もたくさんいらっしゃる人気のお米です。
根津さんの日々の努力が詰まったコシヒカリ、ぜひ一度ご賞味ください!