「どちらを残すか」

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 じっくり、何度も考えるべきテーマの1つです。
 このコーナーは、少し乱暴な表現となっているかも知れません。
 表現等にはこだわらず、趣旨をくみとっていただけるとありがたいです。

 ある勉強会での話です。
 その農業者の方は、農業法人を設立し、農業経営に取り組んでいます。
 法人といっても、常時従業員は家族が中心で、人数も数名だと推測されました。

 その方が「会社経営は厳しくなるのは覚悟の上で、出来るだけ従業員の給与に回すようにしている」と話されました。
 その理由として、「会社の利益を多くすれば会社経営にはプラスである。しかし、そのために従業員にある程度の待遇が保証できなければ従業員をやめてしまうかも知れない。会社を残すか、地域農業の後継者である従業員を残すか。自分としては可能な限り従業員を大切にしたい」と付け加えました。

 少しそれます。
 従業員を新たに雇用する場合、同じ待遇でも雇用情勢によって状況は変わります。
 景気の良い時期よりも、景気の悪い時期の方が集めやすいと言えます。
 しかし、雇用された従業員の満足度も大切です。
 「不景気のなか、地域相場よりも良い給料だから従業員は感謝しているはずだ」と考えるのは「ちょっと待った」です。
 実際にどの程度の生活が実現できるのかについて「想像力」を働かせることが必要です。

 本題に戻ります。
 実際には、ほとんどの経営が「何とか経営を維持できる範囲で出来るだけの給与を支給したい」と考えていると思います。
 「生活の見通しを立てられる待遇」の実現は簡単ではありません。

 農業情勢がこのままだと「農業経営者は日本人で、労働者は期限付きの外国人」が一般的な時代になりかねません。
 労働力を送り出す国の事情が変われば、日本農業は成り立たなくなります。

 農業はいかにあるべきかについて国民合意を築き、必要な施策を着実に進めていくことが求められています。

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