気持ちを新たに

IMG_0920ss
 先日、有機農業の研修会に参加してきました。
 有機農産物の生産や、市などの直売に取り組んでいる方など、いろんな立場から報告がありました。
 毎年行われている集まりですが、年を追うごとに、有機稲作の技術から、生産者と消費者の交流、有機農業の振興などと、中心テーマが移り変わってきています。
 なじみのメンバーも多いです。

 貴重な機会でもあり、何を質問しようかなどは考えずに、じっくり聞くことを大切にしています。

 なるほどと思ったことを1つ紹介します。
 ある方がGAPへの取り組みを勧めるなかで「GAPには多くの経費がかかり、取得しても(多くの)付加価値が付くわけではない。この経費は、農業(収支)とは別に、(家計)全体の中で考えないといけない」との指摘がありました。
 実にそのとおりで、経済的にも労力的にも「ギリギリ農業」では、農産物の生産はできても、GAPの取得も、文化的な生活もできません。
 ある程度の余力を上手く活用しながら、次の一手に取り組んで行くことが大切です。

 しかし、しかしです。
 この「ある程度の余力がある状態」というのは、いくつもの好条件がないと難しいと思います。
 例えば、AさんとBさんが同じ専業農家で、経営規模も農業収入も同じだったとします。
 2人とも年金を受給しているとします。Aさんは国民年金もしくは農業者年金、Bさんは厚生年金です。
 この時、特段のことながなければ、AさんよりもBさんの方が「ある程度余力がある状態」になりやすいと思います。
 年金額が大きく異なるからです(一般論です)。

 余り深入りせずに話しをすすめます。

 ここで言いたいのは、農業者の置かれている状態はさまざまであり、為政者はそれを十分に踏まえる必要があるということです。
 GAP取得・維持に、毎年20万円かかり、それによって価格面でのメリットはなかったとします。
 余力がある農業者は「GAPは大切だから取り組もう。農外収入を回せば良い」と考えるかも知れませんし、余力が無い農業者は「意欲のない農業者と言われるかも知れないが、仕方ない。経済的に無理だ」と考えるかも知れません。

 もう1つ加えるながら、「意外と『余力の無い状態の農業者』は多い」と考えています。

 為政者が、農業者の実態をきちんと受け止めなければ、せっかくの政策が十分な効果を上げることは出来ないと思います。
 もちろん、これは農業に限りません。
 今回はここまでとします。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です