少し脱線します。
前回、JAグループは全力でTPPに反対していないのではと書きました。
これについては、異論もあると思います。
個人的には、異論を言う前に、GATTウルグアイラウンド交渉の時を振り返っていただければと思います。
この交渉では、国内では、コメの市場開放が大きな議論を呼びました。
この時、JAグループでは、国とともに、コメの市場開放阻止に向けて最大限の取り組みを行いました。
多くの消費者・消費者団体も精力的な活動を行い、研究者からの理論的な応援もいただきました。
それぞれのJAでは、機会を見つけては「市場開放阻止の決議」を行いました。
都道府県単位でも集会・大会の他、国会議員への働きかけなどを、地方公共団体とも歩調を併せて行いました。
全国段階では東京ドームを開場に5万人集会も行いました。
署名運動にも取り組みました。
この時、農林水産省が食料輸入国としての日本の立場をまとめましたが、これは、現在でも通じる極めて優れた、極めて大切なものです。
本気で考え、本気でまとめあれた資料です。
残念ながらコメの市場開放を受け入れることとなりました。
その際、政府・自由民主党・全国農業協同組合中央会(JA全中)で、輸入機会を義務づけられたミニマムアクセス米が国内農業に影響を与えないように措置するという「三者合意」を確認しました。
この「三者合意」について知る人も少数になってしまいました。
これらを振り返ると、TPPに対するJAのグループの対応は大いに疑問があります。
反対だったら反対と、現状では容認するのだったら容認と、立場をはっきりすべきだと思います。
少数ですが、農業で暮らしている専業農家も存在しています。
専業農家は、JAには農業を大切にする立場で頑張ってほしい、JAには後継者の育つ農業を目指して先手を打ってほしいと願っています。
いろんな状況はあると思いますが、後継者が確保できなければ、「いざとなったら両親の跡を継いで農業を継いでも良いかな」と思っている後継者候補が元気を無くすようであれば、日本農業は立ちゆかなくなってしまいます。
ここ数年の農業情勢は、後継者候補の意欲をそぎ、「やっぱ農業は継がない」と決意させているのではないかと思います。
今日の脱線はここまでとします。