輸入促進の仕掛け


 今日も「ふわふわ」の雪が降りました。
 毎年のことながら、天気予報とは無関係に、マイペースで降っています。

 さて、輸入促進についての仕掛けについて補足します。
 TPPによって、「輸入」も「輸出」もしやすくなるのだから、輸入促進とはいえないという意見もあると思います。

 少し脱線します。
 外国に農産物を輸出するとします。
 もちろん、農作物を栽培するのに農薬を使用しています。
 このとき、輸出先の国の農薬残留基準は厳しい方が良いでしょうか。それとも、緩い方が良いでしょうか。
 輸出国としては、万一のことも考えると、相手国の安全基準は緩い方がリスクが少なくなります。
 そうでであれば、相手国の安全基準を緩やかにするような働きかけを行うことも、非常に効果があります。

 また、相手国の国民が「遺伝子組換え農産物」について、強い拒否反応があるとします。
 「遺伝子組換えでない」という表示がないと、輸出拡大が難しいと仮定します。
 では、どうやって輸出を拡大するかです。もちろん、「遺伝子組換えでない農産物」の作付け拡大という考え方もあります。
 でも、現実的ではありません。
 実は、「遺伝子組換えでない」という表示基準を厳しくして、「遺伝子組換えでない」という表示をできなくさせるという方法があるのです。
 「遺伝子組換えでない」という表示基準が厳しくなれば、「『遺伝子組換えでない』と表示はできないけれども、95%は遺伝子組換えでなく、遺伝子組換えは5%が混入している農産物(Aとします)」も「ほとんどが遺伝子組換え農産物(Bとします)」の区別が付かなくなります。
 消費者が「できるだけ遺伝子組換え農産物の混入が少ない農産物」を探そうとしても、AとBが同じ表示であれば、探し出すことができません。
 結果として、「遺伝子組換え農産物」を輸出しやすくなります。

 以上のように、相手国の安全基準や表示基準を変えていくことで、輸出しやすくなります。
 輸出国は国益をかけて、様々な働きかけを行っていると思います。輸出国からの働きかけをすんなり受け入れているのであれば「輸入促進を図っている」ことになります。
 関税(価格)だけでなく、いろんなことを気にしていく必要があります。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です