新しい年を迎えました。
政策がコロコロ変わることを「猫の目農政」といますが、今年は、大きな転換期となります。
長年続いてきた生産調整が実質的に廃止されることとなります。
「生産量が増えれば価格が下がり、消費者にとってはプラス」「減反という足かせがなくなり、生産者にとってはチャンス」などの声があります。
一方、「今のままでも生産者は限られた労力で精一杯やっていて、減反がなくなってもそれほど規模拡大は進まないのではないか」「農業の先行きが見えないなかで、減反廃止はこれからもっと混迷を深めていくという宣言のようなもの。現段階でも『跡継ぎは確保できないが、がんばれるだけ自分は頑張る』というのが現状であり、『何かあったら農業を継ごう』という後継者候補の気持ちを挫くもので、後継者確保はさらに難しくなる」と言う意見もあります。
コメの輸入は増え続けることが予想されますが、コメの需要は減少傾向(人口減少、おにぎりを軽くするなどの業界のコスト削減)、生産資材や運賃の値上がりによるコスト増などは、今後も続くと思われます。
農産物を輸出すれば良いという意見もあります。
しかし、仮に輸出が増えても農業現場が潤うのかは大いに疑問(本当ならば現時点でプラスの効果がでているはず)、日本が食料輸入国の立場で反対し続けてきた輸出規制(不作の際は輸出を制限すること。日本は「輸出規制を行うと輸入国への影響が大きい」ことから輸出規制には反対していた)をどう考えるかなど、いくつも疑問点があります。
今年も、これまでどおり、「健康な稲」「おいしいお米」「楽しい食卓への貢献」を目指し、頑張りたいと思います。
できれば、生産者としては将来とも安心して農業が続けられ、消費者としては将来とも安全で美味しい農産物が安定的に手に入るような、農の基本を問い直す年になることを期待しています。
本年もどうぞ宜しくお願いします。